蕪コーセンのこうせんは香煎である

 野本寛一氏が、焼畑の蕪料理の中でも「蕪コーセン」はもっとも古いものを残している、と書かれている(「焼畑民俗文化論」)ので、蕪コーセンを調べてみるも、手がかりがなかった。
 しかし、1月19日の平田蕪の取材の折、門地区の吉川氏より、蕪の食し方として、「汁にするのだ。屑米を焼いて粉にして汁にまぜたものに蕪を入れた汁で、冬は毎日のようにそれだった」とおっしゃった。それは蕪コーセンですよ、まさに。その後再取材が出来ていないのだが、「こうせん」が『聞き書島根の食事』の中にあった。斐川の食の中である。
「こうせん」で辞書をひけば、これ、ふつうにある。 日本国語大辞典には、こうある。

1)麦や米をいって挽いて粉にしたこがしに、紫蘇(しそ)や蜜柑(みかん)の皮などの粉末を加えた香味を賞する香煎湯の原料をいう。こがし。

そうこうしてウェブをみていると、このようなページに遭遇。 香り高き香煎・郷愁のスローフード http://20century.blog2.fc2.com/blog-entry-783.html

現在も玄米香煎を製造しているのが、和菓子原料を製造する畠山製粉所。数十年前に需要が途絶えたため製造を中止するつもりだったが、県内に長年これを主食としているという人物がいて、それならば止めるわけにはいかないと、細々と造りつづけて現在に到ったとのこと。

秋田県であるが、「県内に長年これを主食としているという人物」に会ってみたい。

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