雪どけと足あとと火入れ準備と〜令和4年出雲の山墾りsec.2-3

1月16日と17日の2日間、冬の火入れ準備でほぼ終日、山のあちこちを動きまわった。それらあれこれの合間に、ふと感じたことなどを記しおく。

塗装された道路の雪はすっかり溶けていて、峠のところどころに残るのみ。土の道に積もった雪はまだまだ残っているし、草木が覆う山の斜面であればなおさら。こういうときに山を見たり歩いたりすることは、とてもおもしろい。どうしてここだけ深いのだろう。どうして浅くなっているのだろう。そこはサクサク、ここはフワフワ。雪の下が凍っているところ、とけて水が流れているところ。目眩がするほど雪の溶け具合はさまざまなのだ。
降り積もっているときにはその一帯一様であったものが、溶けるときには、実に多様な状態を現出する。なぜそうなっているのかを推しはかりながら、土地の性状を、ミクロのモザイクを少しずつつかんでいくのは、ほんとに楽しい。

雪が示すものに限らず、土地の性状を知る上で、鳥や獣は先生になってくれる。ただ、どんなに乞うても面と向かってはめったに教えてはくれないので、ふともらしてくれるような一言は貴重だ。雪の上に残された足跡もそう。あるいはつぶやきのようなものか。安易に意味を付託するではなく、それとしてとどめておくのがいい。語ってくれるまで記憶に残しておく。16日に見たこの足跡もそう。タヌキかアナグマ、そして小さなイノシシだと思われる。冬を越せるだろうか。この足跡から30mほどいけば竹藪となる。そこを伝っていけば、まだシラカシの実が落ちている場所にたどり着ける。

 

エンジンポンプで水をあげる。ホース長が15m、ふたつをジョイントして30mで使う予定であったが、すぐにはジョイントできず、うまくいくかどうかもわからない。ならば、15mで前にすすめてしまおうと取り掛かった。リレーすること6回。5時間ほどかかってゴール手前まではいけた。春には、高出力エンジンポンプをリースだね、とは思った。ただ、効率悪いこの小さいやつのいいところは、ひとりでも動かせること。やりようかもしらん。
ポンプは全揚程30mとある。こうしたゆるやかな傾斜なら40m長のホースでもいけるのでは? 今あるものの長さをはかること、接続具の用意からはじめてみることにする。

 

出雲の山墾り〜消炭づくりの準備

積もっていた雪もあらかたとけ、去年より半月ほど遅れての本格始動です。とはいえ、2時間半ほど。積んである竹の嵩をとらえ違える箇所もあるので、頭と身体にたたきこんでいくくらいまでやらないと、火は入れられんですね。早く入れてしまいたい気持ちをなだめつつ、あと3日ぶんは動いて、消炭づくり開始としたいところです。

できれば週末の土曜日に1回目を。と思いましたが、どうかなあ。人数も雪もないし。3月に入るとかなり乾いてくるので難しい。2月20日(土)、そして2月27日(土)または28日(日)を候補日と決めました。

春の火入れ予定区画の一部で、積んである竹を燃やして消炭をつくります。
ここは(できれば)春に焼きたくはないなあという区画です。あるいは春に焼くには竹を移動しないといけないところ。それが下の写真にみえる部分です。
写真奥50mくらい、積んだ竹が続くのですが、深いところで胸の高さ、浅いところでも膝下くらいはあります。伐採から2年たっており、下部などはかなり腐朽が進んでるところもあるのですが、燃えます。春だったらかなりよく燃えるやつです。

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積んである竹は枝がからんでしまっていたり、さまざまな蔓がとりついてしまっており、短く切断していかないと動かせません。これらを細かく分割していき、別な地点へ運んで積み直します。
隣接している竹も切っていきます。上の写真ですと、左側のもの。ざっと最低30本くらいでしょうか。倒したものは右手に引っ張りおろし、一段下の区画へ積んでいきます。
太い根本部分は火を入れる部分に積み増ししてもいいかもしれない。もう少し状況を確認していいやり方を考えましょう。

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さて、雪が積もったらという条件がなくても火を入れるためには、延焼防止用のポンプとタンクを設置しないといけない。
今回程度なら、ポンプは小さなものでもいいのですが、タンクをそばにおくのが難しい。道がぬかるんでしまっている難所があります。これを手当しておくか、それとも、エンジンポンプをレンタルするか。
次回はそこらも要チェックです。

竹水の発酵

木を切った後のカブに蟻が群がっているのを見ることは珍しくはない。昨秋、コナラの大きな木を切ったあとにも、群れとはいえないが、数匹の蟻がチョロチョロと集まってきていた。

荒廃竹林を伐開して火を入れ、畑を数年そこでする。焼畑をはじめて5年目になるが、どうだろう。竹に蟻が集まってくるのを、そういえば見たことがない。いや、気がするというくらいにしておこうか。

一方で、竹水、竹が吸い上げて稈の中にたまるような水分が、ほのかに甘いことは、飲んだこともあるので、そうだようまいよと人に吹聴もする。なにより、切り株のそこここにこの写真のように、発酵がみられることからも、かなりの糖分を含んでいるだろうことは想像がつく。

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ここ数年はつくっていないのだが、竹のチップは、ある程度の量を積み上げておくと、発酵がはじまり、その山に手を突っ込むと、「あっちっち」とかなりの高温にまで達することがわかる。ほかになにも加えてはいない。竹の葉も混じった稈を主体としたチップだけで、1日2日もすればそんな反応が進行するのだ。

これまで、「そういうものだ」という認識でしかなかった。しかし、これらを引き起こす菌やら酵母やらについては、まったく考慮の対象外であったのだ。「ぼーっと生きてんじゃねえよ」と言われそうだ。

なので、ちょいと調べたり実験をしてみようと思う。まずは開始宣言のようなものとして、今日、ここに記しておく。