日本のほとんどの地方都市経済圏が直面しているのは、産業構造の転換がはかれないし、そのリスクを背負えないほどに疲弊してしまっていることである。
極端な話、十分すぎるほどの投資が呼び込めればどんな都市だって、まだまだ成長も発展も可能である。
さて、やや疲弊した中規模の都市経済において、資源(人、金、物)が極めて限定された局面では、ボトルネックを解消する手法がしばしば有効である。端的にいえば「ひとりの落ちこぼれをなくすことで、全体が成長する」やり方である。社内教育であれば、いちばん成績の悪い人物だけにリソース(指導)を集中させて問題の解決をはかる。これは、組織の矛盾や問題はもっとも「できない」と思われている人物の中に凝縮されているという考えに基づく。その人物を指導する過程で得られる情報は組織全体の分析とも通底する。つまりは、そのひとりの再生に成功したノウハウは組織全体に適応できる。
この方法は、社内教育や組織運営だけにとどまらない。地域経済とはサービス=貨幣の循環でもあるのだが、その循環の不全がどこで起こっているのか、端的にはいちばん衰退の激しい業界・産業・企業を観ることで、全体の問題解決へと結びつけることが可能である。
この考えの射程をぐんと広げてみると、焼き畑農法がなぜ衰退したのか、雑穀栽培がなぜ衰退消滅したのかを分析し、再生をはかることが、地域経済の活性化に資するのではないかという論点が姿を現してくる。……のだが、その前の補助線として、地域経済循環構造について、ひとつの図を提示してこの「その1」を終える。
環境省「地域経済循環分析とは」平成27年12月4日より