長島一由著『フィルムコミッションガイド 映画・映像によるまちづくり』がWAVE出版から発行されたのが2007年。
この数年後にはフィルムコミッションを謳った映画の評価が下がり、全面に押し出すような宣伝の仕方を配給する側はとっていない(はず)である。しかしその片側でフィルム・コミッションそのものは増大しているようだ。wikipediaを参照すれば読み取れるし、ここ数年、市町村のいわゆる地域活性化のプログラムの中に「フィルム・コミッションの推進」という言葉が目につくようになったのに違和感を感じてもいたもので。
ちなみにお膝もとの島根県には松江フィルム・コミッションがある。
いえ、大した話ではありません。与太話です。ほんとにそれ、地域活性化に資するの?という案件が目につくので、気になっておったところ、あれれれ、という記事が飛び込んできたので。
それは、茨城新聞のウェブ版2017年7月13日(木)に掲載されているこれ。
「県内FC活動、ロケ支援5000作突破 昨年度、経済波及6億2000万円〜朝ドラ「ひよっこ」効果 撮影隊が長期滞在」
問題になりそうなのは記事中のここです。
《撮影は延べ59日間行われ、延べ約2570人のスタッフが活動した。日立市内のホテルには連日数人が延べ25日間宿泊したといい、同ホテルの担当者は「全体の売り上げに大きな変化はないが、リピーターとして利用してもらえればありがたい」と期待する。》
ホテルの担当者は「全体の売上に大きな変化はない」といいます。
何が起こったかは明確で、市内のおそらくビジネスホテルでしょうが、既存顧客が押し出されたわけです。そのうち何人かは当該ホテルのリピーターであったでしょう。
続けて、このホテル担当者がこう言っているのに注目。ふつう記事にはしない(できない)でしょう。「リピーターとして利用してもらえればありがたい」と。いやいや、撮影隊がリピーターになるって、、、そりゃ希望がないわけではないでしょうが。儚い希望でありすぎやしませんでしょうか。ふつうにはあり得ない以上、このコミッションは負の効果、すなわち撮影隊を一時受け入れることによる既存顧客の喪失のほうが大きいと考えるのが、普通でしょうがねえ。