雨で倒れるアマランサス

 秋の長雨と台風は収獲前の穀物にとってはダメージなので、ほんとに毎日気をもみます。この三連休も稲刈りの予定だった田んぼも多かったろうに。昨年ほどではないですが、すでに倒伏した稲田もちょくちょく見かけて、やばいよなあ、芽がでちゃうだろうに〜と。いや人ごとではありません。  アマランサスはなんと、立ったままでも熟したのち雨にさらされれば芽が出てしまうというしろもの。そもそも9月は残暑が続く長期予報が8月下旬にあって期待していたのですが、見事にはずれており、収穫のタイミングは後ろにずれていってます。  雨がつづけば頭がもたくなり、地面がゆるみ、どさっと倒れる。少しの雨でも。こんなふうに。

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 さて、写真でみるとなかなかアマランサスの大きさがわからないようです。ものにもよりますが、およそ2m〜3mですね。

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 モデルさんが右手にもっているのはアワで、左手がアマランサス。これがほぼ平均的な高さのものです。

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 収穫後、どうやって干したらいいのかを思案してます。稲であれば濡れることで乾きがよくなったりするものですが、アマランサスの場合それより芽が出る可能性が高まる。よって完熟した後に、雨にあたらないところで乾燥させて脱穀するのがよいのです(確か)。  農家の軒先を借りるしかないのですが。果たして見つかるのか!?  

牛の山登りと竹林の役割

 アワとヒエの収穫のために山に向かう日が続いた。毎日数時間。放置し過ぎた焼畑地ゆえ草刈りが半分以上の労力と時間を占める。火入れしなかった防火帯が通り道となるのだが、藪に近づきつつあって、かき分けるのと刈るのとで半日を要したほど。その時の勢いで漆を巻き付けたのか、顔と首がかぶれてしまった。これはまあ軽傷。傷と怪我がいつも絶えない。

 さて、収獲の振り返りはまた別記事にまとめるとして、昨日の発見を。

 この写真である。

 牧場の乳牛があがったあとである。若い牛だ。たぶんあいつだろうと個体も見当がつく。昨年まで、ここの牛たち(といっても恐らく好奇心旺盛な1頭のみ)この写真の手前まではきていた。火入れをこの上のところまでにした理由のひとつでもある。

 なにせ急な斜面だ。何を思って登ったのかをしばし想像してしまった。ずり落ちる速度より早く脚を前へ動かし、転倒のリスクを回避しながら一段上へ身体を移動させる。何度か失敗した跡がみられる。それでもなぜ上へあがろうとしたのだろう。

 好奇心。

 なんだろうな。

 あがった先には一面の蕎麦畑が広がっている。牛の目にはどう映ったのだろう。

 そこで満足したのか、さらに登る意味を感じなかったのか、蕎麦畑に入った形跡は見られなかった。ただ、1週間前にはなかったイノシシの遊び跡が少々。牛が頻繁にくるようになればイノシシも出てこなくなろうし、それが狙いでもある。

 どうやら確かなのは、花が出始めた蕎麦は牛も猪も口をつけないということである。忌避する物質が含有されているのかもしらん。

 ここの乳牛はホルスタイン種である。向かいの山には山岳牛のブラウンスイスが育牛放牧されている。牛舎につながれて育てられたホルスタインは外に出たがらないものだ。その仔牛は外で遊ぶようになり、その仔牛の仔牛になってようやく放牧に慣れる。最低でも3代かかるということに加え、難題はほかにもある。冷涼な気候に適した種であることと平原に適応した身体であること。北海道が適した地であるのだが、それをこの奥出雲の山間地でどう適応させていくか。

 木陰の有無は重要だと思う。落葉広葉樹であれがなおよいが、竹林は夏のいちばんきつい時期、まとまってあると、蒸散効果は高いはずなので、1〜2℃ほど気温をさげてくれるのではと思う。平地であればそう。山の場合、風の通り方にもよる。放牧地は(おそらくかんな流しで)山を削って谷間となった地形である。念頭においておきたいのは、生物多様性を高めるモザイク植生の単位面積がどのくらいだったか。原理と事例をもって確認すべし。

 全体の生態系をどこまで見切っていくか。参照項をあげてみる。

・自然利用の履歴

・周辺の歴史と信仰

・民俗と自然利用の記録

・気温降水量などの記録

・林間放牧研究論文の参照

・竹林の効果について論文参照

・モザイク植生について

 用語など適当すぎるところは後ほど訂正することにして今日はここまで。

 

地方創生に必要なのは経済循環の向こうにあるインプロビゼーション

 藻谷浩介氏がPRESIDENT Online(2016年09月09日)でこう記しておられる。

そもそも地方創生の政策のイノベーティブなところは、交通インフラ整備に工場誘致、という旧来の発想は通じないことを直視し、「地域内の経済循環の拡大」が必要だと明確に掲げたことにある。

 http://lite.blogos.com/article/189813/?axis&p=4

 論旨はだいたい以下である。

・だというのに、地方創生は補助金で箱物つくることだと、未だに考えている議員が大半である。経済循環が何かさえまったく理解できていない。

・そんな中、地方に無駄な補助金を投入するくらいなら、東京一局集中を加速することに注力して、都市間競争を勝ち抜かねばならないという論陣が力を増してきた。

・地方でも成功しているケースは多くあり、大都市こそが学ぶべきである。人材や市場が過少な中でのビジネスは、まさに東京でこそ求められている。

 藻谷氏の論は大筋ではおかしくないのだが、ミスリードを起こしがちだと思う。経済循環がわからない議員を嘆くのはわかるのだが、産業連関表が読める(たとえば自営業者や中小企業が自社の経営に利用するという意味で)人がどれだけ地方にいるのだろうか。私も解説つきで読めるレベルであって、理解しているとは言いがたいのだが。(中国地方、島根県岡山大学の中山良平教授の貢献もあって、大変めぐまれているのに。中山氏の著書『まちづくり構造改革―地域経済構造をデザインする』2014(日本加除出版)は、わかりやすく有益です)

 《地域内の経済循環の拡大》を、どう理解し創生につなげるかについては、その欠点があまりに経済学(均衡理論)らしいことによるのだと思う。経済学は分析のツールであって、ツールでしかない。創生は分析ではないのだから、そこを勘違いしないことだ。

 いや、いや、それ? もちっとヒントを、と誰でも思うだろう。私もそう思う。

 ここからが本題なのだが、ジェインジェイコブズの勉強会をやろうと検討中なのだ。

 ジェインジェイコブズ(以下JJ)は今年2016年が生誕100周年にあたるし。なにより経済学プロパーからは非難囂々、経済学をわかっていない素人が何をいうか爆弾が多数投下されている。

 そんな中、塩沢良典氏がどこかでこんなコメントをしていて、ハッとしたわけだ(あとで出所いれます)。

《ジェインジェイコブズは経済は散逸構造であると言いたかったのではないか。生態学と経済学をつなごうとしたのだ》

 そして、触発されて、手元にある『発展する地域、衰退する地域』を改めて手に取りました。JJの著書は理解するのではなく、道を示そうとしている灯りなのだと、そうひらめいた。

 その道は読者ひとりひとりが見つけ歩むべきもの。対話や討議が必要。できればひとりでなく。ん〜、でも誰もいないし、と思いながら文庫解説をみると、なんと片山善博氏が寄せているではないですか。そのなかで、鳥取県知事時代の事例をあげていたので、それをほじってみました。

 JJはインプロビゼーション(improvisation:ジャズの即興のような)という用語で示しているが、地方創生の「創生」にあたるし、その創生を駆動するのはイノベーション創発)であり、創発の本質はこのインプロビゼーションであろう。すなわち、「要素間の局所的な相互作用が複雑にからみあいながら新たな秩序を形成していく場の力」である。

 さて、事例をみてみよう。→のついた仕組と心情は私の想定である。

【学校給食の地産地消インプロビゼーションをおこすか】

ステージ1)【政策】学校給食の地産地消を促す

      →仕組:栄養士の献立表にもとづいて食材を調達するには地元調達が困難。

      →心情:反発を受けて進まない。

ステージ2)【修正試行】ある栄養士が地元の作付けを調査。

       野菜の収穫量に基づいて献立を作成。

       結果:地産地消率がアップ。

      →仕組:ロジスティクスを担うJA等の組織が動く

       ※ロジスティクスの要諦:必要なものを・必要な時に・必要な量を・必要な場所に

      →心情:コミットメントしている個人が「うれしい」。昂揚感の醸成。

ステージ3)【創発インプロビゼーション

       地元農家が(献立表をみて)、地域外調達をしている食材のなかで、

       地元で調達・作付が可能な野菜類の作付けに着手。

       結果:地産地消率がさらにアップ。

      →仕組:ステージ2より高度なロジスティクスとなる。

          新たな作付が農家にとってプラスとなるかどうかは不透明。

          市場原理とは違う価値観が駆動しながらも、市場とも連動する

          必要がある。

      →心情:地域のため+長期的信頼関係に資する意志決定が農村では結果とし

          て利得が高い。

 場をつくるためには、プレイヤーがステージ3の心情(あるいは規範)を共有しているかどうかが鍵となるのではと思う。農村であれコミュニティであれ大規模システムに抗して経済をまわすためにはこれがアドバンテージとなる。従来、非合理性や因習性あるいは障壁障害として捉えられていたことである。マイナス評価をプラスに捉えるための概念を与えてみたいと思うが、現状、材料不足であり、「宿題」としたい。

 

土用豆の花が咲いた

 播くのが遅れてどうなることかと思っていた土用豆です。やっと花が咲きました。なんとか豆ができるまではいけそうです。
 三沢でわけてもらった土用豆。文化祭(産業祭)に出品されているのを見つけ、在来の豆があったのかと驚き喜び、、、放棄地に囲まれながらも元気に一人暮らしする婆ちゃんの家を訪ね、「持っていきんさい」とわけてもらい、それから在来の蕪菁(地カブ、正月カブ)に出会い、、、と。
 いろいろありました。まだいろいろあるでしょうが、ともかく、花をつけたのがうれしかった。

9月9日重陽の節句の山畑

 9月9日。久しぶりに晴れました。焼畑地の近況報告です。
 8月6日に火入れして播いた奥出雲在来蕎麦が花をつけはじめています。下の写真は防火帯に播いたものです。火入れ地のものも8月19日に追い播きしたものが育ってきました。
 
 咲いているのは小山の中腹でして、私、ゆっくりとあがっていきました。あぁ、咲いている、よかったな〜と感慨にふけろうかというその瞬間でした。
 ブフォ、ブフォ、フガフガ、フガ〜〜。
 うりぼう(うりぼう)が2匹、蕎麦向こうから竹藪のほうへ駆け上がっていきました。
 もう、びっくりしたなあ。あちらもでしょうが。
 生後半年?くらいなのか、子どもではないが、大人ではないくらいの大きさでした。
 兄弟なのか。


 そ、し、て。9月3日火入れの温海カブですが、6日たって発芽は順調。少々密に播きすぎたようで、間引きが大変ですね。それから土着菌?の菌糸が大量に出てきています。熱量が大きかったところに顕著です。培養したい。


竹の焼畑2016ー夏焼き2の火入れ

 2016/09/3(土)・晴れのち曇り:「夏焼2」火入れ。

 今回も無事に火入れが終わりました。本当にたくさんの方々にお世話になっております。ありがとうございます。島根大学から11名、一般から7名の計18名での取り組みでした(見学者含む)。

 時間経過は大まか以下となります。

10時40分 着火

11時40分 約2分の1まで延焼

12時30分 延焼終了

12時30分 延焼終わり

13時00分 鎮火…1回目播種(温海カブ)

14時15分 2回目播種

 さて、毎回、焼け方は違いますが、燃焼温度の実験はできずじまいです。が、しかし、今回、とあるポイントで一升瓶の溶けた残骸があったことから、推定している温度とそう違わないことがより確かになったと考えます。

→燃焼平均温度は400℃〜600℃。

 そして、また今回、1000℃の壁がイメージできたことも大きかった。みなさんご存じのように、1000℃が出せれば青銅がつくれます。弥生の世界ですね。焼畑を火を操作する技術としてみたときに、鉄器精製はすぐ隣にあるわけで、そこんところはもう少しほじってみます。どうぞよろしく。

※2020/07/08追記

 一升瓶のガラスがソーダ石灰ガラスだとすると、軟化点が700℃前後というデータをそのままあてはめるのなら、800℃近くまでの温度上昇が一定時間(瞬間でなく)続いていたのではと。胡乱な考察を認めつつ、再考の気を待つ。

 

★参考★1年前のレポート(数値の出所は省きます)より。

ーーー

・自然に燃え広がるのに必要な温度は350℃。その後数百から1000℃に達する。発生した熱は放射、伝導、対流等によって土壌表面へ伝わっていく。

・日本の焼き畑の記録では、うまく焼けば表面で500℃に達し、深さ2〜3センチで100℃(水の沸点温度)に落ち着く。そして5センチまでいくとほとんど温度上昇はなくなる。

・温度を決める要因は複雑多様であるが、要因としは主に3つある。

有機物量、②水分量、③そして土壌中の空隙など物理的性質である。

このうち最大の要因が土中の水分量。水は土中の無機物有機物の伝導や間隙の空気による対流よりも、伝導率が高いため、熱が下方まで早く伝わる。

・土壌微生物や植物種子の致死温度がおおむね60℃〜100℃。表層3センチまでのものを死滅させ、逆に深さ5センチ土中の生物は生き残る。

火入れは明日なのだが、台風の風の影響がどうなのか

 明日は焼畑の火入れの日。天気予報に心を千々に乱されながらも、決行できそうです。
 台風が近づいてきているのですが、影響はまだ先のはず、、、なのだが、ウェザーニュースだけが強風の予報を出している。
 やだなあ。なにかの間違いであってほしい。ともかく今日は寝て、明日の昼前までは静まっていてくだせえ。

火入れ前日の粟とアマランサスと

竹の焼畑のアマランサスがきれいに色づきました。あと1ヶ月ほどで収穫を迎えます。アワは来週あたりから刈り始めかなと思っております。さて、タカ キビも、ヒエもソバもカブも後ろに控えていて、収穫とその後の調製の段取りが、まだこれから!という有様です。関係各位、申し訳ありません。
さて、篩(ふるい)、箕(み)、唐箕(とうみ)、と、干せる軒先、小屋など探しています。できれば奥出雲町佐白周辺か、島根大学松江キャンパス周辺で。しかし、場所はなくとも道具はなくとも手間さえあればなんとなるのです。いちばんほしいのは人力!

……というわけで!? 夏の終わりの火入れが週末の9月3日に決行できそうです。こちらをご覧のうえ、冷やかしがてらでもお越しくださいませ。午後からはバーベキュー懇親会開催中♪です。下のリンクをご覧のうえ、奥出雲町佐白のフィールドまでぜひ!
◉奥出雲山村塾活動連絡掲示
http://s-orochi.org/public/archives/292
facebookイベントページ〜竹の焼畑2016ー火入れ夏焼2
https://www.facebook.com/events/745249495578349/

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唐箕かトーミーか

 雑穀の収穫時期が近づいてきました。やり方も調査検討中ですが、なにより道具として、唐箕は必須でした。木製の古いもので十分使えることは、あちらこちらで見聞しています。が、なにぶん自分で使ったことがないことと、場所を取る!のが難点です。どこに保管しておいてどこで作業するのか。作業場所は晴れた日を見計らって外でやればよいのでしょうが。

 場所を取らないという点ではスチール製のトーミー(オギワラ)が有名なようです。他社製もありますが、ウェブで見る限りは圧倒的なシェア。昭和60年頃の発売開始ですから、かれこれ30年あまりをへたロングセラーなんだな、これ。手動とモーター式がありますが、調整しやすいのは手動式でしょうね。

 さて、税込みで約2万円です。こりゃ、買ったほうがいいような気がしてきた。

http://www.cellprize.xyz/index.php?main_page=product_info&products_id=13227

火入れは9月の3日か4日か

 記録に残す記事は、移転先である樟の杜のブログと奥出雲山村塾サイトのブログを使うとして、ここには、とにかくなんでもがんがん書いていくことにしました。雑文が多くなり、カテゴリーのほとんどは「日々」ということになります。

 今日の島根県・奥出雲&雲南のお天気は雨。ときどき晴れ、ほとんど曇り……なんとも不安定な空模様です。あのライオン・ロック:台風10号の影響です。明日から4日間、ガンガンに晴れて気温もあがれば3日に火入れ出来そうですが、そうでなければ4日か。

 それとも、3日に焼きつつ、4日に小さく焼くか。4日に何人集まれるかによりますね。

 それというのも、焼ける面積=種をまける面積が少ないのです。

 焼ける物(その場にあるもの)は焼いてしまうか。すなわち、草を焼くか、ですね。焼けるのか!?

 いろいろできることはやってみよう! の精神でやってみましょう。