金継ぎ、はじめます(かな)

 一昨日、全6回の金継ワークショップ受講を終えました。
 「金継ぎ師guu.仲秋の金継教室」として雲南市木次町のカフェ・オリゼで開かれていたもの。9月の残暑きびしい日から寒さで凍えるような年の瀬まで、終わってしまえばあっという間でした。漆がかたまるのをまって次の工程にはいるので、3〜4ヶ月はかかるのですね。段ボールを使った簡易な室で「お世話」することも、手間だなあ面倒だなあという気持ちとは裏腹に、手をかけることに漆がこたえてくれているようで、楽しい時間でした。湿度と気温をみながら、霧吹きで段ボールの中をしめらせておくのですが、季節のうつろいとともにかわきかたもなにもかわっていきます。漆は生きている。そう思わずにはいられません。それやこれやもふくめて、昨今ぱぱっと終えるワークショップが隆盛するなかでは息の長い教室だといえましょう。
 1回のワークショップは2時間程度なのですが、筆やへらの使い方やら練り方やら、ひとつひとつが「微妙」な加減を会得するのが骨折りでした。いや骨折りというのは言葉が違う。ほんの一瞬なので、つかまえようがありませんし、なんとなくわかった気になっているだけです毎回。よって次回にはすっかりといっていいほど忘れている。メモをとっていてもさして役に立ちません(が、メモがないと完全に忘却)。そういう具合だったので、6回の受講をおえてまず思い立ったのは、忘れぬうちに実践せねば!ということ。これから、自家(カフェ含む)の器を少しずつ手入れしていきます。
 下の写真は最終回の様子。ガラス板にのっているのは絵漆です。

 最終回を終えてのguu.さんの言葉から。

《金継ぎをやっていると、どの工程もすごく大切なのがよくわかります。 (きっと生徒さんたちにもわかっていただけたはず!) 粉蒔きを美しく仕上げるには、中塗りや下塗りから美しくしておかないといけなくて、中塗りや下塗りを美しくするには、錆漆等の下地から美しくしておかないといけなくて… 「丁寧な仕事」の積み重ねが最後の仕上げに全て表れるのと同時に、「まあいっか」の積み重ねも最後の仕上げに全て表れます。 「ものを直す」ということを、少しでも身近に、気軽に考えていただきたいのとともに、職人さんや作家さんの漆器が、いかに「丁寧な仕事」の積み重ねであるか、感じていただけたら嬉しいです。》

 丁寧な仕事の積み重ね。工芸にはそれが出るものですし、伝わる、ときには数千年をへだてても。景観にもあるのではないかと思う、あるいは思いたくなっている、今日このごろ。美しい風景には、人が手をかけただけの積み重ねがあるのだと。ね。

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