山の口あけ

9月は山の口あけ。失われた記憶と記録を求めてのろのろじたばたしている。民俗としての記録が現存するトチノミ採取文化の西の果て「柿木村黒淵のIさん大正11年生まれかあ」※1とつぶやくと、「あぁ○○さんね」と妻曰く。すげー。山村の文化凝縮度は基本的には都市をはるかにしのぐということか。黒淵は数回通り過ぎただけの記憶しかないが、椛谷のさらに奥にある。妻の同級生だった黒淵の子は小学校から寮に入っていたという。

「山村といわれるものの多くは、実は奥まった農村にすぎない」(千葉徳爾,1950)のであるが、数十年前まで農村とは異なる数少ない本当の山村が日本のあちらこちらにはあって、柿木には確かにあったのだろう。

トチノキを1本切り出すと1年分の収入があったので、どんどんと切り出されたというような文字の記録をあちらこちらでみた。多いところで年間10俵もとれる生物資源は家族数年ぶんの現金収入と交換されえた。同時に白米が山村に入ってくる、麦飯が主だった平地よりむしろ早く。

いや、しかし、それでさえ「山村」の残映のようなもので、椎茸の栽培が全国に広まる時代に、時代の結節点があるという仮説を抱いて匍匐している。焼畑もそう。時代でいえば元禄より前の時代。どこからたどれば糸がつかめるのか。

匹見(広見)に椎茸栽培を伝えたという三平さんの墓参に行ってみようか。何かわかるかもしれないと思ったり。

柿木村下須の西にかつてあった広大な笹地の謎も糸のひとつだろうが、参照必須の千葉徳爾の「はげ山の研究」「はげ山の文化」は県内に蔵書がない※2。『西石見の民俗』1962に千葉が「土地利用の展開」を稿している。今日は県立図書館でこれも見てみる。

大山あがり調査も半年放置していたものを再開する。山と牛と竹(笹地)とを結ぶ謎と未来を見出すべく。

雨で倒伏したであろうアマランサスの収穫後の干し場も探さねばだし、ヒエをどうしよう。古来の手法で調製したいし(いやそれしかないし)。アワはまあなんとかなるでしょ。そうこうしているうちに蕎麦もできちゃうよ。やれやれ。

※1)辻稜三「中国山地におけるトチノミ食とその地域差について」1993,人文地理第45巻第2号:調査の概要表に記された取材地一覧を眺めていたら柿木村の文字を見つけてつぶやいた。

※2)勘違いでして、島根大学付属図書館にありました。また、この後、『西石見の民俗』は古書にて購入した。

雨で倒れるアマランサス

 秋の長雨と台風は収獲前の穀物にとってはダメージなので、ほんとに毎日気をもみます。この三連休も稲刈りの予定だった田んぼも多かったろうに。昨年ほどではないですが、すでに倒伏した稲田もちょくちょく見かけて、やばいよなあ、芽がでちゃうだろうに〜と。いや人ごとではありません。  アマランサスはなんと、立ったままでも熟したのち雨にさらされれば芽が出てしまうというしろもの。そもそも9月は残暑が続く長期予報が8月下旬にあって期待していたのですが、見事にはずれており、収穫のタイミングは後ろにずれていってます。  雨がつづけば頭がもたくなり、地面がゆるみ、どさっと倒れる。少しの雨でも。こんなふうに。

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 さて、写真でみるとなかなかアマランサスの大きさがわからないようです。ものにもよりますが、およそ2m〜3mですね。

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 モデルさんが右手にもっているのはアワで、左手がアマランサス。これがほぼ平均的な高さのものです。

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 収穫後、どうやって干したらいいのかを思案してます。稲であれば濡れることで乾きがよくなったりするものですが、アマランサスの場合それより芽が出る可能性が高まる。よって完熟した後に、雨にあたらないところで乾燥させて脱穀するのがよいのです(確か)。  農家の軒先を借りるしかないのですが。果たして見つかるのか!?  

牛の山登りと竹林の役割

 アワとヒエの収穫のために山に向かう日が続いた。毎日数時間。放置し過ぎた焼畑地ゆえ草刈りが半分以上の労力と時間を占める。火入れしなかった防火帯が通り道となるのだが、藪に近づきつつあって、かき分けるのと刈るのとで半日を要したほど。その時の勢いで漆を巻き付けたのか、顔と首がかぶれてしまった。これはまあ軽傷。傷と怪我がいつも絶えない。

 さて、収獲の振り返りはまた別記事にまとめるとして、昨日の発見を。

 この写真である。

 牧場の乳牛があがったあとである。若い牛だ。たぶんあいつだろうと個体も見当がつく。昨年まで、ここの牛たち(といっても恐らく好奇心旺盛な1頭のみ)この写真の手前まではきていた。火入れをこの上のところまでにした理由のひとつでもある。

 なにせ急な斜面だ。何を思って登ったのかをしばし想像してしまった。ずり落ちる速度より早く脚を前へ動かし、転倒のリスクを回避しながら一段上へ身体を移動させる。何度か失敗した跡がみられる。それでもなぜ上へあがろうとしたのだろう。

 好奇心。

 なんだろうな。

 あがった先には一面の蕎麦畑が広がっている。牛の目にはどう映ったのだろう。

 そこで満足したのか、さらに登る意味を感じなかったのか、蕎麦畑に入った形跡は見られなかった。ただ、1週間前にはなかったイノシシの遊び跡が少々。牛が頻繁にくるようになればイノシシも出てこなくなろうし、それが狙いでもある。

 どうやら確かなのは、花が出始めた蕎麦は牛も猪も口をつけないということである。忌避する物質が含有されているのかもしらん。

 ここの乳牛はホルスタイン種である。向かいの山には山岳牛のブラウンスイスが育牛放牧されている。牛舎につながれて育てられたホルスタインは外に出たがらないものだ。その仔牛は外で遊ぶようになり、その仔牛の仔牛になってようやく放牧に慣れる。最低でも3代かかるということに加え、難題はほかにもある。冷涼な気候に適した種であることと平原に適応した身体であること。北海道が適した地であるのだが、それをこの奥出雲の山間地でどう適応させていくか。

 木陰の有無は重要だと思う。落葉広葉樹であれがなおよいが、竹林は夏のいちばんきつい時期、まとまってあると、蒸散効果は高いはずなので、1〜2℃ほど気温をさげてくれるのではと思う。平地であればそう。山の場合、風の通り方にもよる。放牧地は(おそらくかんな流しで)山を削って谷間となった地形である。念頭においておきたいのは、生物多様性を高めるモザイク植生の単位面積がどのくらいだったか。原理と事例をもって確認すべし。

 全体の生態系をどこまで見切っていくか。参照項をあげてみる。

・自然利用の履歴

・周辺の歴史と信仰

・民俗と自然利用の記録

・気温降水量などの記録

・林間放牧研究論文の参照

・竹林の効果について論文参照

・モザイク植生について

 用語など適当すぎるところは後ほど訂正することにして今日はここまで。

 

地方創生に必要なのは経済循環の向こうにあるインプロビゼーション

 藻谷浩介氏がPRESIDENT Online(2016年09月09日)でこう記しておられる。

そもそも地方創生の政策のイノベーティブなところは、交通インフラ整備に工場誘致、という旧来の発想は通じないことを直視し、「地域内の経済循環の拡大」が必要だと明確に掲げたことにある。

 http://lite.blogos.com/article/189813/?axis&p=4

 論旨はだいたい以下である。

・だというのに、地方創生は補助金で箱物つくることだと、未だに考えている議員が大半である。経済循環が何かさえまったく理解できていない。

・そんな中、地方に無駄な補助金を投入するくらいなら、東京一局集中を加速することに注力して、都市間競争を勝ち抜かねばならないという論陣が力を増してきた。

・地方でも成功しているケースは多くあり、大都市こそが学ぶべきである。人材や市場が過少な中でのビジネスは、まさに東京でこそ求められている。

 藻谷氏の論は大筋ではおかしくないのだが、ミスリードを起こしがちだと思う。経済循環がわからない議員を嘆くのはわかるのだが、産業連関表が読める(たとえば自営業者や中小企業が自社の経営に利用するという意味で)人がどれだけ地方にいるのだろうか。私も解説つきで読めるレベルであって、理解しているとは言いがたいのだが。(中国地方、島根県岡山大学の中山良平教授の貢献もあって、大変めぐまれているのに。中山氏の著書『まちづくり構造改革―地域経済構造をデザインする』2014(日本加除出版)は、わかりやすく有益です)

 《地域内の経済循環の拡大》を、どう理解し創生につなげるかについては、その欠点があまりに経済学(均衡理論)らしいことによるのだと思う。経済学は分析のツールであって、ツールでしかない。創生は分析ではないのだから、そこを勘違いしないことだ。

 いや、いや、それ? もちっとヒントを、と誰でも思うだろう。私もそう思う。

 ここからが本題なのだが、ジェインジェイコブズの勉強会をやろうと検討中なのだ。

 ジェインジェイコブズ(以下JJ)は今年2016年が生誕100周年にあたるし。なにより経済学プロパーからは非難囂々、経済学をわかっていない素人が何をいうか爆弾が多数投下されている。

 そんな中、塩沢良典氏がどこかでこんなコメントをしていて、ハッとしたわけだ(あとで出所いれます)。

《ジェインジェイコブズは経済は散逸構造であると言いたかったのではないか。生態学と経済学をつなごうとしたのだ》

 そして、触発されて、手元にある『発展する地域、衰退する地域』を改めて手に取りました。JJの著書は理解するのではなく、道を示そうとしている灯りなのだと、そうひらめいた。

 その道は読者ひとりひとりが見つけ歩むべきもの。対話や討議が必要。できればひとりでなく。ん〜、でも誰もいないし、と思いながら文庫解説をみると、なんと片山善博氏が寄せているではないですか。そのなかで、鳥取県知事時代の事例をあげていたので、それをほじってみました。

 JJはインプロビゼーション(improvisation:ジャズの即興のような)という用語で示しているが、地方創生の「創生」にあたるし、その創生を駆動するのはイノベーション創発)であり、創発の本質はこのインプロビゼーションであろう。すなわち、「要素間の局所的な相互作用が複雑にからみあいながら新たな秩序を形成していく場の力」である。

 さて、事例をみてみよう。→のついた仕組と心情は私の想定である。

【学校給食の地産地消インプロビゼーションをおこすか】

ステージ1)【政策】学校給食の地産地消を促す

      →仕組:栄養士の献立表にもとづいて食材を調達するには地元調達が困難。

      →心情:反発を受けて進まない。

ステージ2)【修正試行】ある栄養士が地元の作付けを調査。

       野菜の収穫量に基づいて献立を作成。

       結果:地産地消率がアップ。

      →仕組:ロジスティクスを担うJA等の組織が動く

       ※ロジスティクスの要諦:必要なものを・必要な時に・必要な量を・必要な場所に

      →心情:コミットメントしている個人が「うれしい」。昂揚感の醸成。

ステージ3)【創発インプロビゼーション

       地元農家が(献立表をみて)、地域外調達をしている食材のなかで、

       地元で調達・作付が可能な野菜類の作付けに着手。

       結果:地産地消率がさらにアップ。

      →仕組:ステージ2より高度なロジスティクスとなる。

          新たな作付が農家にとってプラスとなるかどうかは不透明。

          市場原理とは違う価値観が駆動しながらも、市場とも連動する

          必要がある。

      →心情:地域のため+長期的信頼関係に資する意志決定が農村では結果とし

          て利得が高い。

 場をつくるためには、プレイヤーがステージ3の心情(あるいは規範)を共有しているかどうかが鍵となるのではと思う。農村であれコミュニティであれ大規模システムに抗して経済をまわすためにはこれがアドバンテージとなる。従来、非合理性や因習性あるいは障壁障害として捉えられていたことである。マイナス評価をプラスに捉えるための概念を与えてみたいと思うが、現状、材料不足であり、「宿題」としたい。

 

9月9日重陽の節句の山畑

 9月9日。久しぶりに晴れました。焼畑地の近況報告です。
 8月6日に火入れして播いた奥出雲在来蕎麦が花をつけはじめています。下の写真は防火帯に播いたものです。火入れ地のものも8月19日に追い播きしたものが育ってきました。
 
 咲いているのは小山の中腹でして、私、ゆっくりとあがっていきました。あぁ、咲いている、よかったな〜と感慨にふけろうかというその瞬間でした。
 ブフォ、ブフォ、フガフガ、フガ〜〜。
 うりぼう(うりぼう)が2匹、蕎麦向こうから竹藪のほうへ駆け上がっていきました。
 もう、びっくりしたなあ。あちらもでしょうが。
 生後半年?くらいなのか、子どもではないが、大人ではないくらいの大きさでした。
 兄弟なのか。


 そ、し、て。9月3日火入れの温海カブですが、6日たって発芽は順調。少々密に播きすぎたようで、間引きが大変ですね。それから土着菌?の菌糸が大量に出てきています。熱量が大きかったところに顕著です。培養したい。


竹の焼畑2016ー夏焼き2の火入れ

 2016/09/3(土)・晴れのち曇り:「夏焼2」火入れ。

 今回も無事に火入れが終わりました。本当にたくさんの方々にお世話になっております。ありがとうございます。島根大学から11名、一般から7名の計18名での取り組みでした(見学者含む)。

 時間経過は大まか以下となります。

10時40分 着火

11時40分 約2分の1まで延焼

12時30分 延焼終了

12時30分 延焼終わり

13時00分 鎮火…1回目播種(温海カブ)

14時15分 2回目播種

 さて、毎回、焼け方は違いますが、燃焼温度の実験はできずじまいです。が、しかし、今回、とあるポイントで一升瓶の溶けた残骸があったことから、推定している温度とそう違わないことがより確かになったと考えます。

→燃焼平均温度は400℃〜600℃。

 そして、また今回、1000℃の壁がイメージできたことも大きかった。みなさんご存じのように、1000℃が出せれば青銅がつくれます。弥生の世界ですね。焼畑を火を操作する技術としてみたときに、鉄器精製はすぐ隣にあるわけで、そこんところはもう少しほじってみます。どうぞよろしく。

※2020/07/08追記

 一升瓶のガラスがソーダ石灰ガラスだとすると、軟化点が700℃前後というデータをそのままあてはめるのなら、800℃近くまでの温度上昇が一定時間(瞬間でなく)続いていたのではと。胡乱な考察を認めつつ、再考の気を待つ。

 

★参考★1年前のレポート(数値の出所は省きます)より。

ーーー

・自然に燃え広がるのに必要な温度は350℃。その後数百から1000℃に達する。発生した熱は放射、伝導、対流等によって土壌表面へ伝わっていく。

・日本の焼き畑の記録では、うまく焼けば表面で500℃に達し、深さ2〜3センチで100℃(水の沸点温度)に落ち着く。そして5センチまでいくとほとんど温度上昇はなくなる。

・温度を決める要因は複雑多様であるが、要因としは主に3つある。

有機物量、②水分量、③そして土壌中の空隙など物理的性質である。

このうち最大の要因が土中の水分量。水は土中の無機物有機物の伝導や間隙の空気による対流よりも、伝導率が高いため、熱が下方まで早く伝わる。

・土壌微生物や植物種子の致死温度がおおむね60℃〜100℃。表層3センチまでのものを死滅させ、逆に深さ5センチ土中の生物は生き残る。

火入れ前日の粟とアマランサスと

竹の焼畑のアマランサスがきれいに色づきました。あと1ヶ月ほどで収穫を迎えます。アワは来週あたりから刈り始めかなと思っております。さて、タカ キビも、ヒエもソバもカブも後ろに控えていて、収穫とその後の調製の段取りが、まだこれから!という有様です。関係各位、申し訳ありません。
さて、篩(ふるい)、箕(み)、唐箕(とうみ)、と、干せる軒先、小屋など探しています。できれば奥出雲町佐白周辺か、島根大学松江キャンパス周辺で。しかし、場所はなくとも道具はなくとも手間さえあればなんとなるのです。いちばんほしいのは人力!

……というわけで!? 夏の終わりの火入れが週末の9月3日に決行できそうです。こちらをご覧のうえ、冷やかしがてらでもお越しくださいませ。午後からはバーベキュー懇親会開催中♪です。下のリンクをご覧のうえ、奥出雲町佐白のフィールドまでぜひ!
◉奥出雲山村塾活動連絡掲示
http://s-orochi.org/public/archives/292
facebookイベントページ〜竹の焼畑2016ー火入れ夏焼2
https://www.facebook.com/events/745249495578349/

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火入れ地の蕎麦が発芽しない件〜考察1

 8月6日の火入れ後の播種はうまくいきませんでした。天候の影響だと思いますが、ふりかってみます。

 8月6日、雨雲が立ちこめ「こりゃ降るな〜」ということもあり、散水後、播種し、足で鎮圧しました。その後2週間、一滴の雨も降らない日が続きましたね。発芽は0ではないものの、20本もなかったと思います。

 8月●日に追い播き。その後●日たっての姿が下の写真。

 8月6日に防火帯に播いたものはびっしりと過密なまでに発芽しているので、発芽率が極端に悪い種を使っているのではないといえます。

【想定要因】

(1)小雨が原因だが、火入れしたところの土の水もちがわるいために発芽しない。→やや降雨があった追い播きの種は、まだよく発芽している。

 

【気になること】

(1)昨年の火入れのとき、ところどころに蕎麦の種を蒔いていますが、発芽が悪かったのです。焼けすぎたせいかなと、この時は考えていました。今回もそうかもしれませんが、焼畑に適さないなにかを種がもってしまっているのでは?

 

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【あれこれウェブをまわって思ったこと】

・椎葉など焼畑で蕎麦を栽培しているところの発芽の写真をみると、そんなに土が黒くないのです。

・竹を焼くのと何が違うのか。

 

【奥出雲のたたら農業遺産?で気になること】

山陰中央新報の8月27日の記事「島根県奥出雲町は、江戸時代 からたたら製鉄に伴い造られた棚田で栽培する仁多米などを「奥出雲たたら製鉄が織りなす資源循環型の持続可能な農業システム」として、日本農業遺産と世界農業遺産の認定を目指す。有識者らによる協議会を30日に立ち上げ、2017年以降に申請し、農産品のブランド力の強化や地域活性化、住民の誇りの創出につなげる」ですが、うーん、そもそも今現在の奥出雲の仁多米って、資源循環型といえるのだろうか、という疑問はまずおいておいて。 山陰中央新報記事中の、木炭材採取後の「森林を伐採した跡地で栽培した在来種の蕎麦に着目」が気になる。記者もデスクも「在来種」という言葉の意味を理解していない疑いが濃厚ではあるが、それもおいておくとして。

 焼畑の言葉がここにないのはよいでしょう。私の知る限りその証左はないのですから。歴史的には。民俗学的にどうかといわれれば、お隣、飯南町にはある。ここは、いま少し私が掘ってみたいところです。

 さて核心はですね、薪炭林の利用と焼畑が並立したかどうかです。落葉広葉樹の枝打ちしたものが「焼けた」かどうかです。現在焼畑を行っている椎葉や温海の映像や写真を何度か見ますが、ほとんどが杉の枝打ちしたものが主になっているようです。※1

 そう、先日も木次から江津の桜江に向かう途中、三瓶の手前の山中で大量に放置された杉の枝葉を見ました。「あぁ〜、これ、よく燃えるだろうなあ。軽トラいっぱいに積むだけでもけっこうな足しになりそうだけどなあ。いや、ここで燃やせればいいのに」と思いました。

 何をどれだけ積んで燃やしたかの詳細がわかるものが資料にも少ないのです。

 

 蕎麦を育てるには、なにがよいんだろうねえ。

 もし種が焼畑に適応していないのであれば、種を取って育てるところからですが、それはそれで大変やりがいとやる価値があると思った次第。

 引き続き考えて、策を練りましょう。

 軽く草を焼いて播いてみる実験を8月3日〜4日の火入れでやるか、な。

 

※1)西米良の焼畑ドキュメンタリーのこちらをみても、落葉樹ではなさそうだけどね。混じってはいても。

https://www.facebook.com/1589550734592252/videos/1668214403392551/

竹の焼き畑2016-sec.21

2016/08/27(土)・曇り時々小雨:「夏焼2」準備2日目。
島根大の後期は10月からなんだと知りました。帰省している学生も多いようです。そんな中、学生4人、教授1人が島根大から、木次からは1名で、計6人の 活動となりました。落ち葉と泥にまみれ、小さな痣も脚に少々残りましたが、重機も使って藪払いはどんどん進行。1年放置したとも乾燥させておいたともいえ る孟宗竹の束も、所定の高さをクリアーしつつあります。
次回の作業日は、8月30日(火)の予定です。
ボランティア歓迎。
http://s-orochi.org/public/archives/292

 

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 さて、タカキビが花をつけています。カブの跡地で急斜面、木陰の影響で日照も少ない場所です。悪条件のなかでも、そこそこ稔りがありそうです。林原在来の種です。今年は種だけとって来年さらにふやしていきたいもの。
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 奥出雲在来蕎麦は火入れ地の発芽がやはりうまくないです。防火帯に播いたものはふつうに出ているのですが。もろもろ反省中、そして間引き菜とっていってください。どなたでも。
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 そうこうしているうちに、アワの収穫に向けて準備を進める時期となりました。在来種の調査も再開せねば。9月も、9月は、忙しくなりそうですよ。楽しみ〜♪

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柿の木村の大鹿山北西部にあった「竹林」の謎〜その2

  島根県の西に端に位置する大鹿山の北西部の竹林はどうやら篠地のようだと、そして、入手できるもっとも古い航空写真を入手してみよういうのが前回のお話。

  入手しました。約4000円。解像度はあがりましたが(400dpi→1200dpi)、そもそも元の画質がそこまでではなかったようです。なんでしょ う。失敗ですね。しかし、めげずに進みましょう、前へ前へ。今後1947年頃の航空写真はそこまでして取り寄せる必要はないということがわかりました。 な、ら、ば。国土地理院のウェブサイトで閲覧できるものを片っ端からあたってみるのみ。
 ………
 なかなか難儀です。3時間あまりを費やしていますので、作業途中の一部画像をざくっとあげておきます。

 問題の場所は、谷筋からいえば、大井谷の上流という位置づけができます。そして、大鹿山からみると谷を隔てた西の面にあたります。興味深いのは、この場所のみならず、昭和初期年代において、吉賀町の山地で「荒地」となっているのは、奥山部分だということです。大井谷でいえば、扇状地が水田利用で山麓薪炭林、そして奥山が共有林で「焼畑」利用なのか。

 ざっとみた限りですが、昭和初期においては、木次もですが頓原でさえ、山地に荒地の記号はほとんど見当たらない中、吉賀の山のそれはあきらかに多い。

 もう少し地図のエリアをひろげてプロット作業をしてみたいと思います。

 「広葉樹」「針葉樹」「水田」「荒地」「篠地」の区分にて。〆切を決めよう。14日以内とします! まずは5万分の1の<木次><頓原><津和野>にて。

 

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