ススキとセイタカアワダチソウとカメンガラ

 本日快晴。

 種々の備忘を記す。

◉木次から阿井へ向かう途上

・ダムの見える牧場の春焼地で学生らがサツマイモを収穫中。土曜日に続きだったのかどうか。

セイタカアワダチソウとススキの勢力逆転地を通過

 昨年からちょくちょく見ている地点。今年は昨年よりさらに、ススキの勢いが強いように思えた。明後日あたりに撮影しに再訪しよう。セイタカアワダチソウの背丈が低いのが目についた。

・タカキビを栽培しておられら(そこから種をわけてもらった)ところでは、今年は栽培されなかったようだ。もうやめられたのか、今年は休まれたのか、知っておきたいところ、聞きたいところ。

◉阿井にて

・手土産を用意できなかったので、道すがら目についたガマズミのなかで色形のよいものを手折っておもちしたお宅にて。

「これはこのあたりではなんと呼ばれてますか? これはなんだかご存じですか?」

※奥さんはわからないようだった。旦那さんが笑顔でこうお答えになった。

「かめがらと呼んでますよ。わたしらがこどものころは、よくとって食べたものです。いまでも山の中にはありますよ」

「そうですか。それはそれは。食べてかんでいたという話もききますが、どうですか」

「かんだりはしなかったですね、それは。この実はかめがらとは少し違いますね。大きいのでは」

「あぁ、そうですね。違う種類かもしれませんが、味はかめがらです。もう少し小さいものですね、かめがらは」

……。もっとお話を伺いたかったのだが、またの機会にということで。

下は、昨年採取したときの写真。

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出雲国産物帳の蕪菁について

 久しぶりに再読。

 現場百回の精神。破損したデジタルデータから生データをとりだし、解読をこころみるようなもの。痕跡からの推察にとって禁物なのは予断と願望なのだから、心を見る目を外におくようにして読むべし。

 まかぶとは何か。出雲国産物帳には記載がない。正月カブも同様。そして、正月カブあるいは年取りカブを知る2人目のばあさんは、まかぶとじかぶを分別していた。

 出雲国産物帳の大根の項には真大根がある。日本国語大辞典の記述をそのままなぞれば、この場合の「ま」とは次のような接頭辞である。

《(4)動植物の名に付けて、その種の中での標準的なものである意を添える。「ま竹」「まいわし」「ま鴨」など》

 地カブと呼ぶ際の地とは地のもの、地方固有のものの意味としてのものだろう。カブもダイコンも諸国産物帳編纂時には、換金性の高いもの、自給外のものとして域外へも出されるものであった。出雲地方においても、出雲国産物帳にある平田蕪は藩主へ献上の記録があるということ(原典未確認)のほか、全国的に多くの記録にある。

たとえば、伊藤信博,2009「メディアとしての江戸文化における果蔬」。

《『享保・元文諸国物産帳』から野菜の生産高の平均を求めると、トップは大根で、12.1%、他の野菜の上位は、蕪は3.8%、里芋類、5.5%、茄子、4.7%、瓜類、5.3%となる》

 ちなみに重量比で出せば、2010年代でも野菜のトップではなかろうか(のちほど確認)。

 また、大根が縁起物として風呂敷の藍染めにも鶴亀などとならんで使われていたことは出雲民芸館でも見ているが、大根・蕪の民俗と歴史についてはもう少し知見を得ておかねばと思った次第。

竹の焼畑2017-sec.31

31回目の整備活動日です。

天候は雨(小雨)。10時時点での気温16℃。島根大5名(10時半〜)、地元1名(9時〜11時半)の計6名が従事しました。

今日も含めた活動予定日はこちら。

10/28(土)sec.31
11/5(日)sec.32…雑穀料理あり
11/12(日)sec.33
11/19(日)sec.34
11/25(土)sec.35
12/3(日)sec.36
12/10(日)sec.37…整備研修会予定

さて、本日の作業内容などはあとで書き足すとして、気づいたことを忘れずに記しておきます。

◉再生竹が引っこ抜ける状態

ここ1ヶ月以内に伸張したものです。手で抜けるのです。すぽりと。別に腐朽しているようには見えない。地上部は青々と健康そのもの。地下の茎部は白く柔らかい。春・夏に出ているもので、こんな抜け方をするものは皆無であって、鉈・鎌で根元をえぐらねばとれるものではないのですが、この時期のものはなぜすぽりと抜けるのか。

1本くらい残して冬を越させてみるとまたわかることがあるのかもしれませんね。覚えていたらやってみましょう。

◉中山裾の焼畑ーカブ栽培地に牛入る

柵はそこそこ機能していたのですが、山の斜面側から入ったようです、というか足跡からして経路は明確。あまり踏み荒らされていないのは幸いですが、しっかり糞をおとしています。

どうしたもんじゃろのお。

◉中山裾の大豆が生きていた

牛に食われて死んだと思っていましたが、豆ができていました。5〜8株程度で、つきかたも少なくごくわずかなものですが、収穫して来年の種にまわそうと思います。品種はフクユタカ。次年度も購入せねば足りませんが、焼き畑2世代目がつくれるのはうれしいものです。

◉黒いカタツムリ

はじめてみた。

◉野いちご

食べられます。おいしいです。味がしない・あまくないなどという人がいたのですが、食べたことない人でした。叱っておきました。

むかごもまだとれます。山にきたのなら、ちょちょいととってかえりましょう。

さて、古代小麦の種まきは、今日も進めましたが、柵づくりは来週。がんばらずに粛々とやります。はい。

山畑にスペルト小麦の種を蒔く

山畑。通称中山の馬の背部分に小麦を蒔くことを決めた。
2017年10月26日。月齢6.3。旧暦9月7日。日の出6時25分。日の入17時19分。
快晴。最低気温7℃。最高気温21℃。  午後2時20分頃に現地着。この季節には午後のこの時間は日陰になったのだ。3時間後には日没となるのだからといわれればそうだが、ここは谷なのだなあと改めて思うのは秋から冬にかけての時期だ。場所を決めるにあたって、北東の春焼き角地も捨てがたいのは、日当たりがよいことだ。谷が日陰となっている午後2時の時間には、秋の明るい日差しに恵まれている。冬の積雪もその角地はまず真っ先に雪解けで土をあらわにするところだ。
まあ、ともかく、やってみるのだ。北東角地については来年の春から。いまはとても手がまわらない。  種まきに際しての作業内容を以下に。

◉蒔種区画の決定

この地点。
今夏火入れをして、ソバを蒔き、1週間ばかり前に刈り取りを終えたところ。
これより奥のほうに延ばすか、下のほうに延ばすかは次回考えることにする。
10m×12mほどの区画にする予定だ。1.2a(120平米)ということ。今日植えた面積は7m×2mほどだろうか。小麦の後作には5種を植える予定。アマランサス、アワ、大豆、ヒエ、トマトである。

◉竹を使った柵のための杭打ち実験
地面が固いので、打つ場所は限られる。竹の地下茎がないところ。鍬を打って確かめる。竹の根は張り巡っているが、地下茎はそれほどでもなさそうだ。竹の桿を掘った穴に突き立て、ハンマーで打ち込む。強度はさほど得られないのは想定内で、打ち込む杭の数を多くして補うつもり。
竹は奥から切り出すのがよい。できる日に、半日ずつやれば1回に15本程度は打てるだろう。  はて、全部で何本打つのかな。
1mおきだとしてざっくり40本ほどか。4日弱で杭打ちを終え、横にわたす竿を1日〜2日で、か。

◉表土、土質の確認

こんな感じ。
想像よりは柔らかい。そしてかなりの粘土質。ちょうど掘ったこの箇所は発芽がよくなかった地点なのだが、この土質のせいなのだろうか。水捌けは悪いだろうが、尾根にあたるところゆえのはけやすさが救いか。

◉鍬で筋を耕起し、種の筋まき

筋まき。4センチ〜8センチ間隔か。筋間は20〜30センチ。だと思う。

スペルト小麦はカフェオリゼの裏の畑で、今年種取りしたもの。

◉鎮圧
 炭がかなりの量あって、土よりも炭をかぶせたくらいのところもあったろうが、2センチ以上は覆土するようにはした。
ここまでで、作業時間が2時間弱だったろうか。パパッと帰るつもりだったが、カブの間引きを少々やった。

◆カブの状況
 焼畑のカブ、今年は諦めかけていたのだが、実を大きくしているものもあり。今年蒔いた種はいまだ細い根の一部といった風情だが、こぼれ種から大きくなったであろうものも、色形はよい。3〜4ほど持ち帰った。
コオロギ類の食害がひどく、若芽のときに食われて死んだものも多い。
それを思えば、これだけ食われてよく大きくなったなあとも思う。虫の数もずいぶんと減ってこれからすくすくと太ってくれることを願いながら、密集箇所を間引いていった。
収穫の量そのものは、昨年の10分の1もないだろうが、次年度につなげていこう。

◆ソバの状況
 ずいぶんと荒っぽい干し方であるが、こんなふうにぶらさげたり、島立にしている。

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そうそう。小麦の種に覆土していたときに、こんなお客が。オスはじきに死を得る。メスとてそう長くはない。冬がくるのだな。
ガマズミはまた週末に。あぁ三所の片付けと草刈り、そしてマフラーの修理も、週末は忙しい、、、1日弱しかないのに。脱穀は次週からということでよろしく願いたい。

2017年焼畑のカブ状況ー40日をすぎて

今年2017年10月24日の山カブ
9月13日火入れ、41日目。
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昨年2016年の10月16日
9月3日火入れ、43日目。
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そうなのです。育ちがよくないのです。まず原因として考えられることは3つ。
・播種の遅れ(昨年より10日ほど遅い)
・天候不順
・土地そのものがやせている
・火入れ後の蒔種が早すぎた(追いまきでそだったものが半分ほどか)
・種子が昨年とったもの。島大保管のもの(風選しないで冷蔵保存)。
あと2週間ほどは経過をみて、また考えてみます。

エノコログサの食べ方〜その2

 台風ランが列島に荒ぶる威を3日ほどたち、今日は久しぶりに太陽が山の地にも降り注ぐ日和となりました。エノコログサの採集は昨日から再開しましたが、もう時期が終わりなのかなと少々意気消沈。

 こういう状態。10日ばかり前の時期であれば、実が黒茶のものの割合がもっと高く、手でしごくかたたけば、ボロボロと実がとれたのですが、そうはいかない穂が9割以上なのです。
 採取した奥出雲町佐白ですが、豪雨に見舞われた、その影響もあるかもしれません。考えたことをいくつか。あげてみます。
・アワも発育不良のものは脱粒性が高い。別面からいえば、実の熟し方がひとつの穂の中でもばらついてしまうということ。たとえばこんなふうに(下写真)。
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 エノコログサはもともとばらつきがさらにあるもの。そのばらつき加減・偏差がよりひろがる傾向にあるのかもしれません。登熟時期の遅れや天候不順といった要因によって。
・今日から3〜4日は気温が高く快晴が続きます。
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 この間、登熟が遅かった群落の実がうまく熟してくれれば、1日あたりにどさっと収穫できるかも、しれません。うまく晴れてくれれば乾燥に3〜4日。
「エノコログサを食べてみよう」の会に間に合う!? という展開を期待しつつ、観察とほかの仕事にいそしみましょうぞ。
参照
●エノコログサを食べてみよう〜その1
 

石臼と鰹節削器

 鰹節は削りたてがよい。ただ一般家庭でもっているところは少ない。鰹節削り器を使っての削りたての鰹節を味わう機会は、割烹料亭や蕎麦屋でのそれをのぞけばそうはないということだ。

 コーヒーも挽き立てがよい。コーヒーミルは一般家庭にも鰹節削り器よりはずっと多い比率で備わっている。いちどミルを使い始めれば、手間をいとわず豆を挽いてコーヒーをいれて飲むという習慣をかえてしまうことはそうそうはない。

 そして、スパイスもひきたてがよい。スリランカカリーをつくりはじめて一年がたつが、すり鉢を使ったり、ミルサーを使ったり、小さな大理石の臼を使っているのだが、既成の粉末を購入しようとは思わない。

 しかし、先日、テレビ番組で家庭で使われている石臼をみて、あぁ、これだー!と合点したのだった。高さ30センチ、直径20センチほどであったろう。マレーシアの中流以上の家庭のようだったが、インド系と中華系の若い夫婦の台所にあったものだ。これくらいの大きさがあれば、10分かかっているモルディブフィッシュの粉砕が2分程度ですみそうだ。

 それよりなにより、刺激的かつ問題提起であるのは、石臼が現役で現代の台所に生きているというリアルな映像である。私は見てしまった。あぁ、どうしようと。

 どうしようのひとつは、どこかで買わねばということ。

 そして、もうひとつは、日本の家庭料理の問題を端的にあらわしているということ。

 石臼はもっともふるい調理器具のひとつである。石器時代からその機能はかわっていない。土器よりもふるいのだから、最古といってもよいだろう。その形態と機能を台所で保持できているという食文化の深度は強いなあと思うのだ。鰹節はモルディブフィッシュよりも洗練されているし、鰹節削り器もその洗練にあわせて洗練され、両者とも高価な品である。

 日本の料理の洗練が陥った退廃への道は、石臼のような存在を排除してしまったことにあるのではないか。削り器もそうだが、包丁使いへの依存というのか特化というのか。

 そんなことを、原田 信男『歴史のなかの米と肉』『江戸の料理史』を読みながら考えている。

 

2017年蕎麦の収穫

今晩から雨かあ。時間はないけど刈れるだけでも刈ってしまおう。これ以上はずらせない。
…というわけで、予定より1週間ほど遅れて、中山火入れ地の蕎麦の刈り取りをしました。
午後4時〜午後5時30分。7割ほどは刈り取れたと思います。
ざっとですが、経過を振り返ってみます。
8/6  火入れ日蒔種
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8/8  発根確認
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8/15 最後の追蒔
8/19 双葉伸張
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8/23 伸張順調
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9/8 開花はじめ
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9/15 花ほぼ全開
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10/5 実の黒化はじめ
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実の黒化がはじまってから13日目の収穫ですが、もう5日は前のほうがよかったと思われます。9割方黒化していましたから、3割ほどは脱粒していた印象です。雨や気温など諸要因ありますが、10月13日には収穫だと覚えておきましょうぞ。
仮説(仮案)すらたてられていませんが、課題を3つ。
1. 昨年より発芽率も成長もよかったのはどんな要因が作用したのか。
2. 何度追い蒔きしても、他の種(蕪を筆頭に)を蒔いても発芽しなかった部分はいったいなんなのか。
3. 来年以降、どう作付けをしていくのか。
なにはともあれ、おつかれさまでした。
いや、とりあえず刈り取っただけなので、たばねて干して、風選するところまではちゃんとやろう。
雨があがった金曜日に。しかし干すといってもどこに干すか、です。これが最大の懸案事項でした。とほほ。

料理の中の文化と野生〜『江戸の料理史』(本の話#0009)

告知案内文を書きました。原田信男『江戸の料理史』をとりあげてお話するトークライブです。

◉内 容

「一日ニ玄米4合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ」と謳った宮沢賢治は、農民の生活を料理を通して芸術にまで高める夢を抱いていました。人が人である限り、食事は腹を満たせば足りるものではありません。

それは、素材を吟味し、求め、ときにつくり、ときに摘み、さばき、蒸す、煮る、炒める、あえる、揚げる…無数のプロセスを内包しています。調味をへて、種々の器に盛り付けられ、卓を囲み共食するという時間をつくります。また、移ろいゆくものと節目とを編み出します。日々の料理、季節の料理、祝いの席で、悲しみの席で、旧交をあたためる席で。また、離乳の食から介護の食、そして最後の食まで、料理は、人の一生とともにあります。同時に歴史とともにある。

2017年、ガストロノミーが世界を席巻するなかで、貧食と飽食が競いあいながら、大地は疲弊し資源は枯渇し地球生命史上最大の絶滅シーンに突入している現代に、私たちは確かに生きていて、日々働き汗を流し、そして料理を楽しみ食べています。

今回とりあげる原田信男『江戸の料理史』は、一見専門性の高い歴史文化の書にみえますが、そうした歴史と文化と人の生活とのダイナミズムをくみ取るには格好の良書です。

いま、私たちが和食として享受しているものの大半は、江戸時代に形づくられたものです。すし、そば、天ぷら、豆腐、味噌、醤油、砂糖はもちろんのこと、玄米ではなく白米が普及するのも江戸中期以降のこと。初鰹をはじめ旬よりも初物をありがたがるのも江戸時代からですし、土用のウナギ(夏のウナギはまずいからどうやって売るかの策として)、美味しさよりも演出に走る料理店など、文化的爛熟と農村での飢饉が同時進行しながら社会が崩壊へと向かい明治維新を迎えるという流れは、なんだか今の世と似たものを感じますねえ。

お話は多くの現代的な話題をもちりばめながら、料理の中にある野生と文化をよみといていこうと思います。

ここでさわりをひとつ、江戸料理本の嚆矢『料理物語』について。

『料理物語』では巻頭に海の魚があげられます。なんでもないようでいて、大きな転換がここにあらわれているのです。それまで魚といえば鯉が横綱的存在でした。江戸時代に至って鯉から鯛へと横綱が交代するのです。それだけではありません。川魚の地位が低下し海の魚が尊ばれるようになるのです。そして川魚から海魚へという転換は、山の肉から海の魚へという変化でもあり、タンパク質摂取と発酵食の転換、塩の利用、それらの技術も担い手もかえていく大転換を引き起こします。そう、江戸時代は、山から平野・海岸へと、経済・文化・価値の移動が起こる時代であり、人口の爆発をともなう新田と都市開発の時代でもありました。ここには寺社の転換もかかわりますし、宗教・道徳・人生観の大転換でもあったと考えられます。夜なべ、勤勉実直が尊ばれるのも江戸時代からです。キリスト教を通して世界に向かって開かれながら閉じていく時代……。

さて、それらはすべて料理へとつながっていきます。お楽しみに〜。

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料理の中の文化と野生〜『江戸の料理史』(本の話#0009)

◉主 催:ナレッジ・ロフト「本とスパイス」&カフェ・オリゼ

◉日 時:10月27日(金)

 開 場…18:30

 トーク…19:00〜20:20(20:30〜22:00 食事とカフェの時間)

◉場 所:カフェオリゼ(木次町里方)

◉参加費:2,500円(スリランカカレー/ドリンクセット含)

◉定 員:12名

◉申 込:「本とスパイス」参加希望として、カフェオリゼ宛facebookメッセージか下記のメールアドレスまでお名前とご連絡先をお知らせください。返信のメールをもって受付終了とさせていただきます。メールはこちらまで anaomoshiro★gmail.com(★⇒@)

エノコログサの食べ方〜その1

 昨日、仕事打合せ後の茶飲み話。

「今度、江戸の料理について話をするんだけど、江戸時代、とりわけ享保・元禄以降だと想像が働くというかわかりやすいんだよ、現代食生活と地続き感がある」

「そうだね。蕎麦も鰹も寿司だってね」

「ところがだ。室町から前。平安時代にまでいくと、わからないことがおおすぎて、なぞ」

「あぁ、食に限らずだけどね。衣食住に宗教」

「ありきたりなところだと、アワ、ヒエ、キビ、豆といった雑穀、狩猟の比重が高い。魚より獣という時代か」

「野菜もほとんどが室町後期からなんじゃないか。そういえばいま、風土記の仕事やっているんだけど、食に占める野草の頻度が想定以上に高いとしたら、腑に落ちるところが多いよ」

「そういえば、アワをつくっていると、エノコログサが周囲にふえるんだよ。目に飛び込むようになるという錯覚とは思えないほどに」

「アワが不作だったその横に一面のエノコログサがひろがっているわけ。夕陽に輝いてキラキラと」

ナウシカのように?」

「そうそう。いや、それよりも。食えたらいいなあと。食えるんだけどね」

「ええ! あれ食えるの?」

「アワの祖先だし、食ってたという記録さえしっかりある」

「野生のツルアズキが見つからなかったら、記事はそれだね」

……というわけです。

エノコログサを食す慣行を書いたときから、食べようと思いながら実践できてません。そして、野生アズキ探しも、なにやかにやで棚上げ中。じゃ、やるか。問題は時期がもう10月半ばであり、エノコログサあるかなあということ。秋雨前線が停滞して雨がつづいています。

 明後日、ナウシカの草原のようなエノコログサ畑があった場所へ行って確認しますので、実行するかどうかはそのときに決めるとして、です。

 昨年12月に調べた際の宿題だった「脱穀したのちすり鉢ですりつぶし、水選する。食べるときはアワと同様、粒のままでも製粉しても食べられる」ということについて。

 すり鉢を使うのは、粉化しやすいからのようです。

 水選は穎(殻)が水に浮くため、選別しやすいということと、風選がしにくいということか。

 エノコログサの場合、野草だけあって、どんどん脱粒するようで、たたいて収穫するのがよいとある。こりゃ手間かも。乾燥させるのにハウスがあったらなあってやつだ。

【2003,9『雑穀の自然史 その起源と文化を求めて』(北海道大学図書刊行会)内収「雑穀の祖先、イネ科雑草の種子を食べる:採集・調整と調理・栄養」河合初子,山口裕文】

 まあ、よい。やってみよう。

 ちなみに穂づみできるイネ科雑草はといえば、カモジグサ、イヌムギとある。

 カモジグサ、イヌムギかあ。カモジグサは確かにみていて食べられそうだ。

 そしてしごいてとれるイネ科として、チカラシバ

 wikiという安易な検索ではじめて知ったのだが、チカラシバからトウジンビエが生まれたんだ。遠い昔に。道ばたにあるあれ、手でするするとしごきとってパラパラと道路にまいて遊んだ記憶がよみがえるのだが、あのパラパラとクスクスのパラパラがつながった。クスクスは一度粉化したものなんだけどね。よし、チカラシバは粉にしてクスクスをつくってみよう!

 冷たい視線を背中に感じないではないけれど、楽しくやるとしよう。

 

10月5日の畑〜雑感

10月5日。1週間ほど前。1時間強、雑穀の刈り取りをした、その備忘録である。
◉アマランサスとモチアワ
昨年は9月末にはアマランサスもモチアワも刈り取り済みであった。この日がほぼ最後の刈り取りである。モチアワは実の入りが劣悪で放置していたに等しいのだが、この日ほんの少しとった。まとめればそれなりの量にはなるだろうかと思い直して、来週の晴れた日にとってみようとこの日は思った。アマランサスもよくはない。前にも記した通り、日照の問題が大きかろうが、茎が細く、穂のつきかたもずいぶんと小ぶりだ。小ぶりなぶん、雨でも倒伏は少ないだろうとみていたが、さにあらず。茎が細いんだからバタバタと倒れた。倒れた後から穂は上へむかってつくのだが、土砂がつい
ただろうものについては、あきらめて、ほかのものを刈り取った。
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◉カブ
9月火入れ地での発芽はよくない。それより柵が倒され(あるいは倒れ)、牛が入ってきている。今後柵をつくりなおしても、この裾地での栽培は無理だろうなあと、漠然と思った。なげやりではない。ならばどうするという次の考えが出ない。
中山上部では追いまきしたものの発芽がちらほら。初期の発芽は虫食いがかなり強烈。これは裾野よりも激しい。コオロギをはじめ、カブの芽・葉を食する虫をかなり増やしているのだろう。来年は山ひとつかえての栽培にかえねばならんだろう。そういえば、Eさんのところは10年近くも同じところで栽培しているというのだが、虫は出ないんだろうか? そろそろ収穫だろうから見に行ってみよう。
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こちらの大きくなっているものは、こぼれ種からのものだと思われる。
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◉タカキビ
ぜんぶ取り込みたかったのだが、暗くなってきたので、断念した。また来週!